既にプランが確定した新築戸建ての注文住宅。その仕様決めの工程を担当するお仕事をしていた時のお話しです。
担当する物件の中には、平面図や実際の建物を見た際、激しい違和感に包まれるものがあり・・・そんな物件に共通していたのは・・・
サニタリースペース(トイレ・浴室・洗面)に窓がない・・・!
マンションなどの集合住宅の場合、設計上やむを得ない場合が多いので特に違和感はないのですが、
「せっかくの戸建ての(四方が隣家と接していない)、しかも注文住宅なのに~!!!」
と、とても残念無念に感じてしまう私がいました。
お施主様ご夫妻と仕様決めのお打合せをしながら、そうなってしまった理由としてなんとなく見えてきたものもありました。
・サニタリースペースは窓を設置しなければならないという法令がないため、窓を省いてコストカットを優先した
・防犯上の理由で窓を少なくした
・換気扇があるので、窓が必要ないと判断された
・冬の寒さを軽減するために窓をなくした
上記の理由が挙げられる背景には、比較的お若い世代が施主となることが多いメーカーさんの注文住宅であったことや、ずっとマンション暮らしで窓のないサニタリー空間に抵抗のない方が多い・・・そんな状況も見え隠れしていました。
ですがやはり、せっかくの注文住宅なのに、採風・採光することで得られる自然の恩恵や、窓があることによって感じられる開放感がないのは、とても残念な気がします。
換気扇は電気で動くものなので、地震などで停電が起きてしまうと当然作動しなくなります。
また、太陽光には殺菌作用があり、風が通ることで家の中の空気の澱みは解消されます。
そして冬の寒さを気にすることなく過ごせる断熱性能に優れた窓の採用は、今や業界の主流となりつつあります。
私が設計するなら、何をおいてもサニタリースペースには100%窓を設けます・・・!!!
しっかりとした断熱性や耐震性を備えながら、自然の力を上手に取り入れる家。そんな住まいこそ、真の省エネ住宅であると私は考えています。
また、「水廻りに窓がない」というのは家相的に見ても、本当に良くないこととされていますし、家を建てるチャンスに恵まれたなら、避けられる悪い条件は避けていきたいものです。この<家相>についても、いつかお話しできる機会があればいいなぁ・・・と考えています。